20世紀やな

20世紀の後半、1980年代の半ばあたり、

世間ではちょとした哲学ブームがあったんや

それでも友達が、友達がみんな夢中になっていたかというとそうでもなくて

ひとりだけ、ひとりだけ、ガールフレンドが

ドゥルーズとかラカンとかデリダとかソシュールとかフーコーとかガタリとか、そんなことを話していた。

まだバブルがやってくるちょっと前ぐらいか

大学生の頃、まだこの世界のことも、人間のことも、何もよくわからない

20代前半のころ、

この世界の根本的な原理がどこかにあって、それを誰かがはじめて知ることになって、

そしてそれを言葉にして、本にして発表している。

つまり、人間の知性が格段に伸長して、新しい世界のとらえ方が誕生したかのような。

なので7000円ぐらいするフランス現代思想の哲学書を初版で購入し、ものすごく重いのに、いつも持ち歩いて

最初の数ページだけを読んでみるのだけれど、

まったくわかならい。

何が書かれているのか、もちろん日本語に訳されているのだけれど、さっぱりわからない。

全然わからん。

それから30年ほどが経って、21世紀に突入して、何かがわかるようになったかというと、

まあほぼ進歩はない。

しかしながら当時まったくわからなかったということが、それはそれで別によかったということだけはわかるようになった。

その時のガールフレンドに進められて、つい最近、この夏に読んでみたある本に、あの時はものすごく流行ったけれど、いくら読んでもその7000円ぐらいするフランス現代思想の本には何も書かれていなかったんだよと、優しく解説されていた。

そやろな

そらそやろ。

でも

この夏に読んだその解説本にも述べられていたように

あの疾走感だけはよくおぼえている。

哲学者による独特の文体で、ロックシンガーがそのライブでそのステージから叫ぶように、のたうちまわるように書きなぐられていたメッセージを。

一にも多にもなるな! 多様体であれ! 線をつくれ! 決して点を作るな!

 地図を作れ!写真も素描も作るな!

ピンクパンサーであれ!あなたの愛が雀蜂と蘭、猫と狒狒のごとくであるように。